端末インセンティブ廃止とも呼ばれる事象は、利用料金における端末価格の明確化と通信料との分離を、モバイルビジネス研究会の結果を受けて総務省が各キャリアに要請にしたもの。目的は所謂インセンティブの内訳と端末価格の透明性確保、明確化が目的である。インセンティブ廃止が目的ではない。今後はKDDIと同様に要請を受けたNTTドコモ、ソフトバンク、ウィルコム、イーモバイルも、何かしら料金プランの変更を行うと思われる。
所謂インセンティブも各社諸々だが、総務省的には以下二つに分けている。
○端末販売推奨金
・継続利用を前提の端末価格の立て替え払い相当額
○通信販売推奨金
・契約者の獲得と契約継続に関する手数料
・オプションプラン契約などに関する手数料
総務省とモバイルビジネス研究会は、所謂インセンティブの内訳を、端末販売推奨金と通信販売推奨金の二種類があると定義し、分離・明確化を求めた。端末販売推奨金は、高額な端末価格を毎月の基本料金から立て替え、店頭価格を下げることが目的のインセンティブ。通信販売報奨金は、回線やオプションプランなど、通信商品の販売促進を目的としたインセンティブ。これらを明確にすれば、MVNOの交渉で問題となる通信コストもより明確化するという。
実際に各費用の明確化を行い、インセンティブを除いた通信プランを提供した場合、端末価格は3~6万円辺りになると見られている。だが、このままでは端末を購入しづらいので、通信プランとは別の分割支払い方法を提供することは認められている。が、端末価格が通信料金の割引と連動するプラン(ソフトバンクの新スーパーボーナスのように、端末の価格により通信の割引価格が980~2500円辺りで異なるもの。)の見直しは求められている。
■で、どうよ?
ポイントは、端末販売推奨金を料金プランから分離することに拘っていても、通信販売推奨金に関してはとくに言及が無く、代理店の値付けに関しても拘束力が無い点。これまでと同様、キャリアはもちろん総務省も小売り価格を拘束できない(笑)ので、量販店や代理店が通信販売推奨金を端末価格の値下げ原資にする事は可能だ。
個人的な予想だが、端末の小売価格は分割販売込みで即2~3万という値付けになるのではなく、分割販売とオプション加入で1万円前後になるのではと見ている。販売構造が明確になるだけで極端な変動はなく、目に見える変化は、端末ラインナップがローエンドに少し傾くぐらいではないだろうか。